秋葉原オタク狩り2018―警視庁による違法な職務質問

「オタク狩り」という言葉が流行ったことがある。オタクが恐喝被害に遭うというアレである。最近はすっかり聞かなくなったこの言葉だが、秋葉原では警察官による「第二のオタク狩り」の被害が多発しているのをご存知だろうか。

2018/1/26追記:コメント欄で頂いた指摘を受けて記事と記事名を改めました。元の記事名は「秋葉原オタク狩り2018―万世橋警察署による違法な職務質問」でした。

警視庁の警察官による違法な職務質問

ある日の中央通り

万世橋警察署の警察官による違法な職務質問(中央通り沿いのゲームセンターにて)

違法な職務質問の様子1

まずはこの写真を見てほしい。中央通り沿いのゲームセンター店頭で、警察官が青年の身体検査をしている。もう一方の警察官は少年のリュックサックを開け、中身を覗き込んでいる。

この青年はゲームセンターで騒ぎを起こしたわけでもなければ不審者として通報されたわけでもない。ただ中央通りを歩いていただけの善良な青年である。ではなぜ彼は犯罪者であるかのように警察官に体中を弄られ、荷物を漁られ、路上で晒し者にされているのだろうか。

これは警視庁の警察官による「職務質問」である。職務質問とは警察官職務執行法に定められた警察官の活動である。

警察官職務執行法 第二条

警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

簡単に言えば、「警察官は犯罪に関わっている疑いのある不審者を見かけたら呼び止めて質問できる」ということだ。

ではこの青年は何らかの犯罪に関わっていたのだろうか。無論そんなことはない。身体検査でも所持品検査でも違法なものは見つからなかったのか、しばらく経って彼は解放された。

警察官は何を期待したか

警察官二人は何の目的で公衆の面前で善良な青年を辱めたのか。それは彼の荷物から十徳ナイフやハサミ、カッターナイフなどが出てくるという期待である。

もし彼の荷物からこれらのものが出てくれば、軽犯罪法違反あるいは銃刀法違反として摘発し、めでたくお手柄となるのである。警察内部ではこのような活動にノルマや点数といったものが設定されているという話もある。

違法に強制される身体検査と所持品検査

私たちは警察官に声をかけられたら必ず応じなければならないのか。また、荷物を漁られたうえ、体中を弄られることを拒むことは出来ないのだろうか。

警察官職務執行法には次のような規定がある。

警察官職務執行法 第二条

2 その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。

3 前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。

つまり、逮捕されているわけでもない人間を無理矢理引き止めて職務質問をするということはできないのである。

しかし、現実にはそうはいかない。「身体検査は嫌です」「荷物を開けられたくありません」などといえば「なんで?悪い事してないなら見せられるでしょ」などと言って食い下がり永遠に解放されない。さらにその場から立ち去ろうなどとすれば、目の前に立ち塞がったり肩を掴むなどされ、応じるまで威圧され続けるのだ。

もちろん肩を掴むなどというのは違法行為であるが、日本においては警察官による市民への人権侵害は野放しである。

北海道では2013年、40歳の男性が一時不停止で検挙された際に警察官13人から頭を踏みつけられるなどの苛烈な暴行を受けた末に死亡するという凄惨な事件が起きている。しかし罪に問われたのは13人中たった1人で、それも4年も経っての執行猶予判決で事実上の無罪放免となった。

殺人さえ許される警察官からしてみれば、違反したところで罰則のない警察官職務執行法の規定など無いも同じである。

北海道北見市で2013年、土木作業員の男性(当時40歳)を道交法違反(一時不停止)容疑で現行犯逮捕する際に頭を踏みつけるなどの暴行を加えたとして、特別公務員暴行陵虐罪に問われた元道警警部補、佐藤昭夫被告(56)に対し、釧路地裁は19日、懲役10月、執行猶予3年(求刑・懲役10月)の有罪判決を言い渡した。

(中略)

判決によると、佐藤被告は13年2月24日、北見市留辺蘂(るべしべ)町で他の警察官を含む計13人で、男性を逮捕する際、右足で頭を数回踏みつけ、さらに後頭部を数回蹴る暴行を加えた。男性はその後意識を失い、搬送先の病院で死亡した。

特別公務員暴行陵虐罪:元北海道警警部補に有罪判決 – 毎日新聞

狙われやすい人とは

彼らとて無差別に選んでいるわけではなく、獲物はきちんと見定めている。

ミリタリー風ファッション

万世橋警察署の警察官による違法な職務質問(ジャンク通り付近のコインパーキングにて)

違法な職務質問の様子2

  • 迷彩柄のパンツやジャケット
  • 迷彩柄のリュックサック
  • ミリタリー風のブーツ
  • カラビナ

迷彩柄、これは本当に狙われやすい。ミリタリー趣味やその傾向を持つオタクの持ち物からは、彼らの望むものが出やすいのだろう。アーミーナイフは出ないだろうが、十徳ナイフかドライバー、運が良ければモデルガンやボールペン型の仕込みナイフまで出てくるかもしれない……。そのような期待をされているわけだ。

オタク特有の大荷物

  • ポケットの多いズボン
  • 荷物の詰まったショルダーバッグ
  • 収納の多いリュックサック
  • 膨らんだ買い物袋

要するに「漁り甲斐がある」ということである。

また、あれやこれや持ち歩くというオタクの習性も関係してくる。使いもしないのに持ち歩いているハサミやカッター等々。これらはミリタリー趣味のないオタクの荷物からでも出てくることが期待されるだろう。

少人数

オタク狩りは数をこなすものであって、多人数と押し問答などしてはいられない。一人あるいは数人程度のオタクを警察官二人がかりで威圧してさっさと荷物をひっくり返し、何も出なければ次の獲物を探しに行くのだ。

男性

これは大前提である。警視庁によるオタク狩りは善良な市民の荷物をひっくり返して掻き回し、全身のポケットを撫で回して調べるというものである。これを女性に行ったらどうなるか。セクハラ事件として夕方のトップニュース間違いなしだ。

オタク狩りの肝は「弱者を狙う」というところにある。性差別がまかり通っている日本では、このような重大な人権侵害を受けても抗議の声を上げられないほどに男性は弱者なのである。

秋葉原全域が危険地帯

ジャンク通りを巡回する万世橋警察署のパトカー

ジャンク通りを巡回するパトカー

警視庁のパトカーは獲物を探して秋葉原のあちこちを走り回っている。標的にされたら最後、パトカーが停まったことにさえ気づかない無防備な貴方の後ろ姿に警察官から声がかかるのだ。

ちなみに、路上駐車の監視員が目を光らせる中央通りであっても彼らは堂々とエンジンを掛けたままのパトカーを放置して行く。凶悪犯罪者かもしれぬ不審人物と対峙する緊急事態なのだから駐停車禁止など関係ないのだ。

もし遭遇してしまったら

素直に応じる?

万世橋警察署の警察官による違法な職務質問(中央通り沿いのゲームセンターにて)

違法な職務質問の様子3

運悪く標的にされて声をかけられるとどうなるか。多くの場合は「名前と住所わかるもの持ってる?」などと言って身分証の提示を要求される。そのままそれを取り上げられ、実質的に監禁されることになる。

前科前歴の照会をされた後はいよいよ所持品検査と身体検査だ。拒否したところで「なんか疚しいことあるの?無いならいいでしょ?」などと屁理屈を捏ねる。立ち去ろうとしても屈強な男二人に進路を塞がれて「逃げるなよ」などと恫喝され、結局あなたは所持品検査と身体検査を違法に強制されることになる。

荷物は警察官の手で開けられることもあれば、自分で取り出すように命令されることもある。路上にぶち撒けられることさえあるだろう。オタクグッズが出れば「こういうのが好きなの?」などと曰う警察官も居るだろう。

この頃にはもう道行く人は貴方を好奇の目で見ている。天下の往来で晒し者である。

身体検査は更に不快だ。手袋をした警察官に体中を撫で回されるのである。ポケットに何か入っていれば取り出せと命令される。

ここで警察官お目当てのものが出てきてしまえば、任意提出と称してそれを没収されるか、任意同行と称して警察署に強制連行されるか、場合によってはその場で現行犯逮捕ともなる。ここからは全て「おまわりさんの気分次第」である。

ではもし何も出なかったらどうだろうか。「疑ってしまってすみませんでした。この度はご協力ありがとうございました。よい一日を!」などと言って送り出されるなどということは絶対に無い。あてが外れて不機嫌な警察官に「もう行っていいよ」などとにぞんざいに言われるだけである。

「救援連絡センター」に電話をする?

電話ができる状況ではないし、電話をしたところで根本的な解決にならない。

救援連絡センターとは、「被逮捕者の救援を通じ、公権力による弾圧に反対する」との活動を行っている人権団体である。インターネット上で「職質を受けたらここに電話をすればいい」などとして紹介されていることがある。

しかし、威圧的な警察官2人に囲まれた状況で冷静に電話をかけて助けを求めることなど不可能である。「カツアゲに遭ったら110番すればいい」と言えば分かりやすいだろうか。

それでも平気で電話をかけられるという人がいるとしたら、そんな猛者は最初からオタク狩りの標的にはならない。警察官に声をかけられた時点でその人は抵抗できない弱者だと見透かされているのだ。

では、仮に電話をかけることができたとして、どういったことができるのか。カツアゲに遭っての110番とは違い、弁護士がすぐに現場に駆けつけてくれるようなことは期待できない。警察官に携帯電話を渡して「救援連絡センターと話してくれ」などと言うのも現実的ではない。

少なくとも、「救援連絡センターに電話一本を入れればすぐに解放される」といったことは期待できないだろう。

頑なに拒否していればいずれ解放される?

解放されるかもしれないが、根本的な解決にならない。

先述の救援連絡センターのサイトに「職務質問を確実に断る方法」という記事がある。要約すると「職務質問を録音録画しつつ拒否を続け、2時間が経過したところで過去の判例を挙げて解放を求める」というものだ。場合によってはうまく行くこともあるのではないかと思う。

しかしだ、この方法でオタク狩りから逃れたとして得るものは何なのだろうか。警察官から声をかけられたその時、あなたは一人で買い物をしていたのか友人と遊びに来ていたのか、ただ散歩をしていたのか。いずれにしても楽しかったはずの時間は間違いなくぶち壊しである。

最初は二人だった警察官も五人、十人と増えて囲い込まれ、腕を掴まれ服を掴まれ、脅迫めいた言葉や暴言も受けるだろう。恐怖と不愉快極まる状況に数時間おかれることになるのだ。

下手をすれば公務執行妨害などをでっち上げられたり、運が悪ければ北海道での事件のように命の危険さえあるのだ。これでは何の解決にもならない。

ブログ「本の虫」の江添亮氏も中央区で違法な職務質問を受け、明確に拒否したにも関わらず長時間拘束された末に所持品検査を強制されたそうだ。

本の虫: 濫用に当たる職務質問を受けたと考えたので弁護士に相談して訴訟を起こすことになった話

ではどうすればよいか

服装を改める

警視庁によるオタク狩りは声をかけられた時点でゲームオーバー、こちらの負けである。私たちにできるのは標的にならないように注意することだけだ。

どんな人が狙われるかというのは先述のとおりだ。秋葉原をミリタリーファッションでうろつくのは自殺行為である。また、ポケットの多い服やリュックサックは警察官のスケベ心をくすぐる。痴漢が多発する満員電車に露出の多い格好で乗り込むのが不適切なのと同じように、格好や持ち物には十分注意するべきである。

しかし無理をして「脱オタクファッション」のようなものを目指すのも危険だ。不自然な格好や不審な挙動は警察官の大好物である。

少人数が狙われるというところについては、5人10人のグループで歩いていれば避けられるかもしれないが、大人数のオタク集団というのは悪目立ちするので、別の形で目をつけられる可能性には十分に気をつけたい。

余計なものを持ち歩かない

使いもしないものをあれこれ持ち歩くのはオタクの悪癖である。

秋葉原の路上で十徳ナイフに命を救われることは無い。文房具は行き先で借りればよい。パンパンに膨らんだ鞄やポケットはいかにもオタクといった見た目であり、オタク狩り以外の場面でも不幸しか呼ばない。

危険を感じたら近くの店に逃げ込む

さすがの警察官でも、ラーメン屋で食事をしている最中の人間を連れ出してまで職務質問はしないだろうし、パーツ屋の前で出待ちもしないだろう。

パトカーがあなたを追い越した先で停車したり、正面から来たパトカーに乗った警察官と目が合ってしまったら、平静を装いつつ近くの店に逃げ込もう。何の店でも良い。なるべく店の奥に行くのだ。そこで彼らをやり過ごしたら、もう一度遭遇しないことを祈るのみだ。

ただし、逃げるように駆け込んではいけない。「お前逃げただろ」は警察官の常套句である。

また、勢い余ってオフィスビルやマンションの共用部に立ち入ってもいけない。警察官は間違いなく住居侵入だなどと言い出すだろう。

秋葉原に行かない

危険な地域に近寄らないということは犯罪被害防止の基本である。

秋葉原で買えるものは殆どが通信販売でも買えるだろう。ラーメン屋もカレー屋も、秋葉原にしか無いわけではない。オフ会も別のところでやればよい。

貴方が秋葉原に行くその用事は、本当にオタク狩り被害のリスクに見合うものだろうか。今一度考えていただきたい。

秋葉原を巡回する万世橋警察署のパトカー

秋葉原を巡回するパトカー

コメント

  1. 匿名 より:

    > ジャンク通りを巡回する万世橋警察署のパトカー
    対空表示を見る限りは万世橋PSではなく1自らの無線警ら車と見受けられますが

  2. 匿名 より:

    この記事を読んですごく共感します, この道,秋葉原で職質され10年目の外国人です,初めて日本の秋葉原に遊びに来た10代の時(秋葉原通り魔事件より前),アニメグッツ買い物の終わりの警察に職質さました,当時はベルトにちいさいナイフが掛けてたのですが,持ち物(紙バッグ)の中だけ見せて済みました.やがて,日本に留学して,日本で就職して,今でも週2回は秋葉原に行きます,服装はアウトドア風で迷彩のバックパック,自覚はしてますが,運が悪い1日は3回ぐらい職質されますw.最近は身体チェックもされるし,駆けつけ応援も,結構ありますね,記事に逃げるとかいてあったんですが, 一度,末広町の三菱UFJの入り口に入る瞬間に,警察官とすれ違ったのですが,彼らはちゃんと僕がATMの用が済んで出るまで,出口で待ってたんです,出た瞬間のタイミングで声をかけられました. あれこれ10年経つけど,秋葉原が外国人向け観光地化+終らないオタク狩り職質で気持ちが複雑です.

  3. 匿名 より:

    実際に秋葉原で職質した検挙率くらい取材して載せないと、何の参考にもならん
    こんなネットでビビってないでちゃんと万世橋警察署に聞きに行きなさいな。

  4. 匿名 より:

    秋葉に行くなって…、こういう記事を書く人がいるから、変な先入観持たれて観光客も減っていくんだよ。
    本当に「悪いことしてないなら職質に応じる」それで十分。
    警察官が秋葉原の治安維持をしてくれてることに、秋葉原によく買い物に行くこちらとしてはありがたいよ。だから、自分が職質されても早く終わるように淡々と応じるね。ただでさえ、秋葉は観光客も買い物客もかなり多い場所なんだし、職質されるから秋葉行くなって論理破綻してますよ。

  5. FPSゲーマー より:

    この記事を見て参考になりました
    自分も先程ミリタリーのバックと靴とジャケットを身につけていたら警官2人に職質を受けました。結果何事も無く終わったのですが、この記事と今日あったことを参考にして気をつけて行こうと思いました

  6. 毎日職質 より:

    秋葉の職質は、警視庁第一自動車警ら隊と職質専門の遊撃隊がまわっています。万世橋警察の場合はチャリ出動がほとんど。第一自動車警ら隊以外がたまにいますが第ニ自動車警ら隊がいた場合は管轄違いの応援か新人の職質練習。

    拒否理由が通れば警ら隊は拒否は出来るが、遊撃隊は拒否理由が通る通らないに関係なく職質させない限りは解放はされない。

    職質されたくない場合は有料のチャリでチャリ移動をすればいいです。

  7. 匿名 より:

    職務質問されたくなければ秋葉原に行くなとか、結局この記事も要はオタクと関連するものを潰したいヘイト系の記事じゃないですかね。